Time Alignment
タイムアライメント
マルチウェイのスピーカーにとってタイムアライメントの整合性は解決しがたい問題でした。タイムアライメンの整合とは各ユニットから発せられた音が同時に耳に届くよう調整することを意味しますが、大きくくぼんだウーファーやロードの長いホーンスピーカーなどは、音の発生源であるボイスコイルがバッフル面よりも奥に位置するため、音が遅れて耳に到達します。 バッフル面に均等に配置された通常のスピーカーの場合、タイムアライメントを調整するには図のようにバッフルを後ろ向きの傾けると、ある程度調整することができます。 |
VTAS Variable Time Alignment System ◆Concept 各ユニットからの距離をそれぞれA,B,Cとすると、タイムアライメントを整えるには、A,B,Cの長さが等しい必要があります。しかし耳の位置やスピーカーまでの距離によってA,B,Cのバランスは変わってしまいます。 HIRO SYSTEMのVTASとは、各ユニットを自由に動かせる構造を指します。これによって部屋の大きさや、試聴する耳の高さに合わせ、タイムアライメントをコントロールすることができるようになったのです |
◆Time Alignment Gauge HIRO-SYSTEMのVTASでは移動した距離が一目でわかるゲージを各ユニットのケースに刻みました。ゲージを読むことでミリ単位の正確なアライメントを調整することができます。 |
VTASの効果 タイムアライメントをアクティブにコントロールすることで、周波数特性を変化させることも可能です。各帯域を再生するユニットの位置関係が変わることで位相が変化し、互いの音が干渉しあい、周波数特性が変わるのです。下図にツイーターを前後に10ミリ移動させた時の周波数特性を示しました。 正解は一つではありません(参考1)、各ユニットを前後させることで音像の定位や音質も変化しますから、ユーザーの最も好ましいと思う位置にセッティングすることが勧められます。 |
参考1 マルチウェイのスピーカーの場合パッシヴネットワークやチャンネルデバイダーが必要悪として存在します。回路上にコンデンサーやコイルなど位相を前後に揺さぶる要素が多数組み込まれているのです。そのため物理的にボイスコイルの位置を揃えるだけでは位相の統合性が取れないのです。つまり、時間軸が合っていても、位相は合っていないという現象が起きるのです。どこかで妥協点を見つけ無ければいけないのですが、今のところすべてを同時に解決する手段はありません。 ヒロ音響研究所ではタイムアライメントの問題に取り組み始めてすぐにこの問題にぶつかりました。測定上は優れたデータが取れても、実際試聴してみると、必ずしも良い音ではないのです。特に空間表現に係る再生能力は、周波数特性良否に比例しないことが分かってきました。 当研究所では無数のトライアルテストの成果として、周波数特性を試聴帯域で±3dBに抑えながら、音場空間の再生能力が最大限に生かされるポイントをいくつか見つけ、ユーザーに情報提供を行っています。ユニットを1ミリ動かすだけでここまで音楽的な表現が変わるのか、と驚かれるユーザーも多いのです。 |
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